Q -よくあるご質問

アルカリ性脱脂液のスラッジ発生の仕組みとは？

A -プレス表面処理一貫加工.comからのご回答

アルカリ脱脂剤の主な成分は、【水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム】等のナトリウム系が主体となります。

めっき処理前の金属プレス加工品には防錆目的や製品加工時（プレス、切削、板金）に必要な油、更には汚れ、又は無機物などが付着しています。脱脂工程は、前述の固形物の除去及び油分の除去をアルカリ性液中で行います。固形物は、加温した液中で脱落しますが、油分に関しては、ナトリウム系の化学反応による鹸化作用、界面活性剤による乳化作用（エマルジョン化）で除去することができます。このように表面を綺麗に洗浄することで、次工程以降への処理について最適化を導き出しています。

尚、脱脂液で除去された汚れや油は液中に留まり、濃度がある程度上昇すると洗浄効果が低下してしまいますので、定期的に脱脂液を更新することで洗浄効果を維持しなければなりません。液中に除去された物質は、スラッジとして底部に溜まりますが、金属プレス加工品の汚れ具合（表面付着物）によって、スラッジの量が変化し、脱脂液の更新頻度も変わってきます。

参考までに、鹸化作用は、動植物油のみに働く作用であり、鉱物油（グリース）などは、界面活性剤による乳化作用によるところが大きいです。
今回は浸漬洗浄による内容を記載しましたが、その他の事例といたしまして、スマットなどの強固な付着物に関しては、ガスの力で除去を行う電解脱脂があります。
・被処理物を陰極（-）にして水素ガスを発生させる陰極電解脱脂方法。
・被処理物を陽極（+）にして酸素ガスを発生させる陽極電解脱脂方法。
・被処理物を陰極⇔陽極の交互にしてガスを発生させるPR電解脱脂方法。

いずれにしても、除去物はスラッジとしてタンク底部に堆積します。

関連項目
・脱脂液はどうして油除去できるのか？
・炭化水素系洗浄機とは何ですか
・フープ材を洗浄（油分除去）する事は可能でしょうか
・炭化水素溶剤も、アルカリ脱脂溶液のように更新が必要ですか？