Q -よくあるご質問

めっき処理における水洗工程とは？

A -プレス表面処理一貫加工.comからのご回答

めっき処理の工程には、脱脂・酸洗い・活性化・めっき・中和など様々な化学物質（薬品）を使用した表面処理工程がありますが、これらの工程で処理された製品には必ず処理液（薬品）が付着します。これをそのまま次の処理工程に持ち込むと処理液の劣化や、めっきのシミ・ムラ・密着不良などの品質トラブルが発生するため、これらの不具合を避ける目的で各工程間に設置され、付着した薬品を洗い流すのが水洗工程です。またこの水洗工程にも様々な種類がありますが、代表的なものを下記にて紹介致します。

従来は各水洗槽に給水する【単段水洗方式】が用いられていましたが、洗浄効率の向上と給水量を削減する目的で【多段水洗方式】が用いられるようになっています。
【多段水洗方式】とは図のように水洗槽を複数並べ、上流から下流へ給水された水が移動し、下流から上流へは製品が移動することで製品に付着した処理液を洗浄する方法です。この方式は様々な表面処理後の水洗工程として用いられ、次の方式を併用することでさらに洗浄効果を向上させることができます。

【シャワーリング（スプレー水洗）】
シャワーリングは配管などにシャワーノズルを取り付け、そこから水を噴霧することで製品を洗浄する方式です。少ない水量で効果的な洗浄ができますが、ノズル目づまりの管理が必要であり、製品の形状によっては処理液が残留する場合があるため、表面処理後の回収水洗として、大まかな処理液の洗浄に使用されます。

【超音波】
超音波のキャビテーション効果(超音波が溶媒中を伝わる時に発生する減圧状態の空洞が出来る現象)により発生した泡が潰され製品表面の処理液を剥がれ落とします。歪な製品形状や、溶接などの隙間にも洗浄効果がありますが、製品材質によっては表面に細かなキズが入ることがあるため、製品の材質や超音波出力には注意が必要です。

【バブリング（エア撹拌）】
エア配管を水洗槽の底部に設置し、エアを出して水を撹拌することにより製品表面に付着している処理液を水中に拡散させる速度を早めます。また、気泡を細かく大量に発生させることで洗浄効率をより高めることができます。

【温水洗浄】
温水で洗浄することで、粘度のある薬液などの洗浄効率を向上させるとともに、仕上げ水洗にも利用され、乾燥促進のために製品に温度を加える役割も果たします。また、乾燥工程前の最終水洗では、純水を使用して製品を洗浄する工程もあります。

水洗は処理液を製品表面から洗い流す工程となるため、製品を揺動させる、水洗槽の中にエアを吹き込むなどすることで、製品表面近くの処理液成分が濃い水を素早く拡散させて洗浄できるような方法を選ぶ必要があります。もちろん、水洗槽に製品を長時間浸漬しておけば、処理液は全体の水にゆっくり拡散しますので洗浄はできますが、目的や用途に応じた最も有効な水洗方式を選ぶことで素早く拡散させ能率を上げることができます。

＜関連項目＞

・めっき工場からの排水はどうしていますか？

・めっき工程でのスプレー洗浄はどのように行っているの？

・めっき工程で使用する超音波洗浄とは？

・めっき工程の水洗に空気撹拌を行うのは何故ですか？